カテゴリ: 会社設立、商業登記
春日井支局と一宮支局の商業登記の管轄が名古屋本局の法人登記部門へ取り扱い庁が変更されています。法務局の統廃合で愛知県の法務局は20年前の4分の1になりました。現在、愛知県の法務局は、約10か所です。商業登記の管轄もやがては、2、3か所へ集中されるのかも知れません。登記申請を間違った庁へ申請しないように注意しなければなりません。
中国の会社の履歴事項全部証明書(登記簿謄本)というのはありません。営業許可証のような書類を正本、副本各1通交付されます。資本金、商号、事業目的、存続許可年数等が記載されています。
毎年1回、諸官庁へ届出を提出してその許可証に認証印を受けます。正本は会社に備え付けて、副本を持って回り履歴事項全部証明書のように、証明書として第三者に閲覧させることになります。中国全土の会社が全部そのような取り扱いなのかは不明です。
中国の会社が、日本で会社を設立するときに、投資する理由と金額等を事前に中国の諸官庁で許可を受けます。日本で設立後、日銀にも届け出を提出しします。
最近、中国の人の会社設立が何となく多いのです。日本で会社設立する場合、または日本における中国の会社の支社を設置する場合でも、設立した日本の会社の代表者(役員)のうち1名は、日本に住所があり、連絡が取れる状態でなければなりません。
ということは、代表者のうち1名は、日本人か、日本人と結婚した中国人か、日本で就労できるビザを持った中国人かに限られてきます。投資して会社設立して、投資経営ビザを取るには、会社が実際に一定の規模で運営できる事務所等があり、従業員には適正な給料が支払われて、一定の売上があり、継続して事業を運営できる状態でないと投資経営のビザが取れません。
せっかく会社を設立してもビザが取れない場合が多いのです。事前に十分な相談をしながら会社設立をしていくことが必要です。
本人で設立登記申請する場合、聞きなれない言葉が多く、当然にすぐ忘れてしまいますが、その時だけ少し理解していれば充分でしょう。
登記申請書
会社設立する場合の管轄法務局へ登記申請する場合の用紙、登記を受ける人達の受益者負担で、申請人が作成します。法務局に備え付けてはありませんが、インターネット等で収集できると思います。登記に必要な正しい事項を記載して申請人(会社の本店、商号、代表者名)が記名押印します。
登録免許税納付用台紙資本金の1000分の7にあたる金額の登録免許税を普通のA4の白紙に収入印紙を貼付することにより納税します。資本金100万円でも登録免許税は、7000円ではなく最低15万円なので15万円分の収入印紙を貼付します。収入印紙は、消印しないでください。法務局が消印します
登記用紙と同一の用紙法務局でOCR用紙をもらって作成します。文字数の制限もありますので注意して登記する事項と同じことをパソコンで記載します。この用紙を提出すると、法務局内で設立会社の詳細がコンピューターに入力されます。
定款
会社の規則を発起人(出資者)が事前に作成して、公証役場で定款の認証をうけておきます。定款には収入印紙4万円を貼付します。公証人の手数料が約52000円かかります。電子文書により法務省経由で認証する場合は、電子文書なので4万円の収入印紙は、不要です。電子申請する環境を設定するのに時間と費用がかかるので一般の人は、司法書士に依頼するか、4万円の収入印紙を貼付して処理します。
払込証明書
見せ金を防止するために、資本金が存在することを証明しなければなりません。発起設立の場合は、発起人代表の個人の通帳に発起人各自が正確な出資金を振込し、記載された通帳をコピーします。募集設立の場合は、会社法が適用される前と同じで、銀行に依頼して資本金の保管証明書の交付を受けることになります。現実には銀行は、資本金の保管証明書の交付依頼を簡単には受け付けてくれません。平成18年以降は、銀行も資本金の保管証明の交付を殆どしていないので、担当者も詳しくありません。資本金の受け入れを拒否されたり時間もかかることになります。
印鑑届書
個人の印鑑証明書と同じで、会社を代表する人(代表取締役等)は、会社として使用する実印を法務局へ届出します。届けることにより、会社の印鑑証明書も法務局から交付されます。会社が銀行預金を開設したり、融資を受けたり、第三者と取引する場合に必ず会社の印鑑証明書が必要になります。代表者が2名の場合は、2名とも別の印鑑を届けることができます。1名だけ届け出ても良いです。
定款とは、会社の名前、資本金(出資金)、本店の場所、事業の内容などの会社の基本的な条項を発起人(株主)らが取り決めて作成します。定款で取り決めた条項により会社が経営されます。定款には.絶対的記載事項(必ず記載する事)、2.相対的記載事項(記載して効力を生ずる事、3.任意的記載事項(法律に違反せず上記以外の事を書いておくこともできます。)があります。
1.絶対的記載事項
会社の名前である商号、事業の目的、本店の所在地、資本の総額、出資口数、出資一口の金額
2.相対的記載事項
代表取締役の選任方法、監査役の設置規定、設立時の取締役、監査役および代表取締役の氏名
3.任意的記載事項
取締役、監査役の人数と、事業年度、株主総会の開催時期、株主総会の招集者、招集方法、株主総会の議長、決議方法、議決権の内容、役員報酬の決定手段、方法、配当金の支払等
1.商号
会社の名前、英文字も可、有名な会社と間違うような名称はだめです。類似商号の調査をします。所在地が少し違えば他の会社と同一の商号や似たような商号を登記することはできますが、「不正競争防止法」により商号の差止請求や損害賠償請求を求められることもあり、適正な会社を継続して営むことはできなくなります。
2.目的
営む事業を明確に、法律に触れないで営利性がある内容で、2、3年のうちに営む予定の事業も含めて決定します。5年先のことは、その時に見直して、新規で事業目的を追加します。内容は、以前は、具体的に一般の人がわかる言葉で記載することになっていました。今後もわかりやすい言葉がよいと思います。事業に際して会社設立後に許認可を受けなければならない事業もありますので、許認可の要件も満たすことができるのか前もって準備しておく必要があります。
3.発起人(株主であり資本金の出資者とその出資比率)
1名以上必要です。定款に実印を押印して印鑑証明書を添付しなければなりません。外国人の場合は、一旦、日本へ来て、印鑑証明書の交付を受けて定款認証、出資をすることもできますが、ビザの問題もあり本国で諸官庁の署名証明を定款に受けて日本語の訳文等添付のうえ定款認証することもあります。
4.本店(会社の住所)
所在地番にマンション名は、入れない会社が多いです。
5.役員(取締役、代表取締役、監査役は任意ですが、それらの任期)
原則として家族で経営し、株主以外の人を役員に入れなければ10年でも良いと思います。他人を役員に入れた場合は、2年とか、4年とか短い任期の方が良いかもしれません。
6.資本金の額(出資の合計額)
資本金は、1万円でも会社設立できますが、履歴事項全部証明書(登記簿)に1万円と記載されるので、常識、信用のない会社に見えます。最低は100万円くらいがよいでしょう。
7. 設立に際して株式の1株の金額、発行する数と将来予定する発行可能株式数
資本金の額を決めてから、1株の発行価額を決めます。
8.決算期
個人営業は、毎年12月31日ですが、会社は任意で事業年度を決めることができます。毎年1回、税務署等へ申告しなければなりませんが、業務の暇なときに決算期を持ってくることもできます。会社設立後にすぐ決算期が来ると大変なので、よく考えて決めましょう。
外国資本の日本会社設立の件でジェトロへ行ってきました。外国企業の日本投資を促進する機構ですが、いろいろな情報を知ることもでき、外国企業にとって援助を受けたり、数日間滞在して事務処理などできる場所も提供し、各種のコンサルタント、アドバイスを受けることができます。名称は、聞いたことがありましたが、現実に日本に初めて進出する外国企業にとっては、金銭面でも若干の援助対象にもなり活用すべき機構だと思いました。
ここ2、3年会社合併、会社分割が本当に増えています。10年くらい前は、当然会社分割は、できなかったのですが、会社合併にしても1年に1回くらい、それ以前だと3年に1回くらいと本当に少なかったです。ここ2、3年で会社合併、分割は、15件くらいあったと記憶しています。合併して他の同業者へ対抗できる強い会社へ移行したいとか、会社により何らかの特殊の事情があります。合資会社から株式会社へ組織変更する会社の話も少しですがあります。有限会社から株式会社への移行は、今のところ少ししかありません。
平成19年4月から定款の電子認証の方法が変わりました。定款認証委任状に定款案を合綴し(当事務所では、定款案を合綴せずに認証しました。)、割印するとか、一旦法務省へログインしてから公証役場で定款認証をします。事前に公証役場へファックスで確認したり、法務省を通すことで、すぐに公証役場で定款認証できません。手続方法は、また変更になる可能性もあります。当事務所でも3件くらい定款認証し、会社設立申請しましたが、電子申請を強制的に進めるために、準備、環境、マニュアルが確定していなくてもやらざるを得ないのでしょう。商業登記の電子申請を完了しましたが、申請書だけです。後日添付書類は、持参するので、今のところは、パソコンの前でカチャカチャと作業することは同じなので電子申請と文書申請と大差ありません。書類の添付を今後10年間でなくすることができれば、良いのですが、法人は、強制的に電子署名等の手続きをさせることができても個人の印鑑証明書、実印押印につき、電子署名、住基カード等を強制することは長くかかると思いますし、半ライン状態でいつまでも続くような気がします。
旧商法では、会社の事業目的は、適法性(他の法律で禁止されている事業はできない)、営利性(利益を得るための事業)、明確性(使用する文言が一般の人にわかる言葉で)、具体性(事業の範囲)の4つの条件が必要でした。新会社法になり、具体性だけは、考慮しないで3つの条件で目的を定めることになりました。
解散するとき、普通の会社は、清算人を1名選任する場合が多いですが、清算人会の設置の定めがあるかを確認するために株式会社が、解散後、最初に清算人を選任する場合は、常に定款の添付が必要となりました。