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・真正なる登記名義の回復

平成17年不動産登記法が改正され真正なる登記名義の回復による所有権移転登記ができなくなったのでしょうか。不動産登記法の改正前は、競売で取得した物件でさえ、登記するときに間違えた所有者で登記を受けてしまった(購入資金は別の人が出していた)ということで真正なる登記名義の回復を原因として別の人への所有権移転登記申請もできるということになっていました。


改正後は、名古屋法務局では、受理したくない考えのようでした。しかし東京法務局では、従前通り真正なる登記名義の回復による所有権移転を受け付けていますし、登記原因証明情報を提供する場合に真正なる登記名義回復しかありえない現実の状況を記載し登記官がやむを得ないと判断した場合、名古屋法務局でも受理されています。


登記官は内容が不明なとき、形式的ではなく、実質的にも調査する権限もあるからです。現実の問題では、中間省略登記は禁止(売買契約による登記原因証明情報の提供をする司法書士は中間省略登記を申請することが不可能であり、第三者のためにする売買契約があったとか事実を曲げて登記原因証明情報を提供することも当然不可能であり)となっていますが、中間省略登記ができないので直接第三者へ真正なる登記名義の回復による所有権移転登記(公序良俗違反、通謀虚偽表示とか税法上の課税の問題を何も考えずに)を申請する人が現れるかもしれません。


司法書士は、注意深く売買契約書を確認して事実関係を把握して現実の登記を申請するしかないと思います。

別のケースで父親の建てた住宅(既登記物件)に子供が自己資金で増築する場合は、以前は、形式的に一旦父親名義で増築登記を完了して後で、実際には子供が建物増築資金を出しているので『真正な所有者もしくは、完成後の建物の真正な持分割合は父親と子供が1/2ずつです。』という真正な登記名義の回復による持分移転登記をしておりました。


持分割合は、父親の建物の評価や増築建物の時価とを詳細に計算して決定しますが、現在では、移転原因を代物弁済による持分移転登記という形式で申請します。登記原因が代物弁済で思い浮かぶのは、20年くらい前に仮登記担保法ができる前に住宅ローン融資の会社や金融業者が抵当権設定登記、その融資金の債務不履行を条件とした賃借権設定、並びに代物弁済予約の所有権移転請求権仮登記をしていた時期がありました。


債務返済ができないので代物として所有する不動産を債権者へ移転して清算することを想定した事例です。代物弁済を原因として所有持分を変更することは、慣れないので変な気がします。

 

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